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男着物ほおずき堂
ほおずき
2026-06-29 ・ 約4分で読めます

着物を始めたきっかけ——料理人の友人が教えてくれたこと

着物を着ると、いい店でいいサービスを受けられる。
20代のころ、料理人の友人から聞いたその言葉が、私の20年以上の着物生活の始まりでした。

料理人の友人が着物を着ていた理由

私が着物を着るようになったのは20代のころ、友人にすすめられたことがきっかけでした。その友人は料理人でした。

彼が言うには、20代で高い飲食店に行っても、ちゃんとしたサービスを受けられないことがある、と。若くてカジュアルな格好では、店側も客をそう見る。それが悔しかったと言っていました。

そこで彼が考えたのが、着物を着ることでした。着物を着て、箸の扱いなどのマナーをきちんと身につけて行けば、お店の側も「ちゃんとした客」として接してくれる——そういう発想です。

着物を着ると、いい店でいいサービスを受けられる。

最初にその話を聞いたとき、「たしかに」と思いました。おかしな話ではない。見た目は第一印象に直結するし、着物という選択は、場に対する敬意の表れでもある。

一緒に着物とマナーを覚えた

それから私も、箸の扱いをきちんと覚えました。友人と一緒に、廻らないお寿司屋さん、フグ料理店、和食の料理店へと足を運びました。着物で、正しい所作で。

実際に行ってみると、反応は想像以上によかったです。高い着物というわけでもありませんでしたが、店のスタッフの方々の対応が違うのを感じました。それは今でも鮮明に覚えています。

着物は「特別なもの」ではなく、「場にふさわしい装い」として機能する。そのことを体で覚えた経験でした。

「何を着ていけばいい」という悩みがなくなった

着物を着るようになって、もうひとつ大きな変化がありました。「このイベントや集まりに何を着ていけばいいか」という悩みが、ほとんどなくなったのです。

洋服で「好感を持てる服装」を揃えるのは、実はかなり大変なことです。何がふさわしいかは場によって変わるし、流行もある。それなりのものを揃えようとすると、お金もかかります。

でも着物を持っていれば、ある種の「正解の服装」がひとつ手元にある感覚です。改まった場から気軽な集まりまで、着物一枚でカバーできる幅は意外と広い。何より、「どうしようか」と悩む時間が減りました。

着物は「特別な日のもの」というイメージがありますが、私にとっては「迷わなくていい服装」として機能しています。これは20年着てきた中で、一番大きな実感のひとつです。

着物を始めるのに、高いものは必要ない

「着物を始めたい」という人によく聞かれることのひとつが、「いくらくらいかかるの?」です。

私が最初に全身揃えたとき、3万円もかかりませんでした。リサイクルショップで一式揃えた記憶です。それでも、場での反応は十分によかった。

着物の価値は値段ではなく、「着ている」という事実にあります。高い着物を一枚持つより、手頃な着物を実際に着て場に出る経験を積む方が、ずっと大切だと今でも思っています。

着物名人
着物名人より 友人のひと言がなければ、今の私はなかったと思います。着物を始めるきっかけは人それぞれですが、「いい経験のための道具として着物を使う」という発想は、今でも私の着物観の根っこにあります。

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